犯罪など存在しないこの世の楽園で、44人の子供の変死体が発見される。共通の“しるし”をのこして―。

スターリン独裁政権下のソ連の内幕を暴き、ロシアでは発禁本となった全世界震撼の問題作。完璧なストーリー、完璧な映画化。

レオ、ネステロフ将軍、レオの妻写真
 日本のミステリーファンが絶大なる信頼を寄せる「このミステリーがすごい!」で、2009年版海外編第1位に輝いたトム・ロブ・スミスの「チャイルド44」。この世界的大ベストセラーを、『ブレード・ランナー』、アカデミー賞5冠『グラディエーター』などの名匠リドリー・スコット等が製作、俊才ダニエル・エスピノーサを監督に据え、映画化を実現。
舞台は、スターリン独裁政権下のソ連。夢のような理想国家を標榜し、犯罪の存在など認めない。そのため、連続殺人の犯人を追う主人公が、真相に迫れば迫るほど国家に狙われるという、かつてない緻密なプロットを完璧に構築したミステリー映画が誕生した。敵と味方が一瞬で入れ替わり、一瞬たりとも目を離すことができないスリリングな展開。そしていつからか、極上の心理戦に誘われる――。

STORY

 1953年、スターリン政権下のソ連で、子供たちの変死体が次々と発見される。年齢は9歳から14歳、全裸で胃は摘出され、山間にもかかわらず死因は溺死。だが、“殺人は国家が掲げる思想に反する”ため、すべて事故として処理される。秘密警察の捜査官レオは親友の息子の死をきっかけに、事件解明に乗り出す。捜査が進むほどに、国家に行く手を阻まれ、さらに、愛する妻にも不当な容疑が。真実が容易に歪められるこの国で、レオは真犯人に辿り着けるのか──?

ヨシフ・スターリン(1878-1953)

ソビエト社会主義共和国連邦の第二代最高指導者。20世紀を代表する独裁者の1人で、統治期間30年とソビエト連邦で最長。指導者に対する個人崇拝、軍隊や工作活動による暴力的な対外政策、秘密警察の支配を背景とした恐怖政治などが特徴。大粛清の名のもとにのべ100万人以上を犠牲にしたとされ、その残虐性はヒトラー以上といわれることも多い。